【登辞林】(登記関連用語集)


[し]

新株引受権 (1)会社が募集株式を発行する際の、株式の割当てを受ける権利。会社法施行前においては、株式の譲渡制限に関する定めのある会社の株主は、当然に新株の引受権を有するものとされていたが、会社法においては、非公開会社公開会社を問わず、当然に株主が新株引受権を有するものとはされていない。(会社法第202条参照)
(2)平成9年の商法改正(平成9年5月21日法律第56号)により、いわゆるストック・オプションとして創設され、平成13年の商法改正(平成13年11月28日法律第128号)の際、「新株予約権」が規定されたことにより廃止された、取締役又は使用人に対して付与する新株の引受権。新株予約権と異なり、付与対象者は、取締役又は使用人に限られ、付与株式数は、発行済株式総数の10分の1を超えることができず、新株引受権の行使期間は、付与の決議の日から10年を超えることができなかった。
(3)平成13年の商法改正の際、新株予約権付社債が規定されたことにより廃止された、新株引受権付社債に付されていた新株引受権。同じく廃止された、取締役又は使用人に対して付与された新株引受権と異なり、新株引受権付社債を発行する対象者に制限は無く、新株引受権の行使期間にも制限は無かった。

新株引受権付社債 平成13年の改正前の商法に規定されていた社債で、一般に「ワラント付社債」「ワラント債」と呼ばれ、新株の引受権を行使することにより、社債発行会社の株式を取得することができたもので、「分離型」のものと「非分離型」のものとが存在した。「分離型」は、新株引受権を社債と分離して譲渡することができ、債券と、新株引受権証券が発行され、資金調達目的の他、擬似ストック・オプションとしても利用された。「非分離型」は、新株引受権を社債と分離して譲渡することができず、社債と新株引受権が1枚の証券で表章された。新株引受権を行使する者は、一定期間内に新株の発行価額全額の払込みをすることを要し、転換社債と異なり、社債部分については新株引受権の行使があっても満期まで存続した。社債の償還に代えて新株に対する払込みがあったものとする定め(代用払込み)がある場合は、新株引受権の行使により、社債は消滅した。新株の引受権は、甘味剤として機能していたので、新株引受権付社債の利率は、通常の社債のものよりも低めに設定されていた。新株引受権付社債のうち、「非分離型」に対応するものとして、商法改正(平成13年11月28日法律第128号)後の「新株予約権付社債」がこれに該当し、「分離型」については、新株予約権及び社債それぞれの規定によることとされた。

新株予約権 株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利(会社法第2条第21号)。新株予約権の行使があると、会社は、新株の発行、又は、自己株式の交付をする。新株予約権を発行するには、原則、公開会社では取締役会による決議、非公開会社では株主総会による決議を要する。

新株予約権区 株式会社の登記記録において、新株予約権に関する事項が登記される区。

新株予約権原簿 株式会社が新株予約権、又は、新株予約権付社債を発行した時に備えることを要する帳簿。無記名式の新株予約権証券が発行されている新株予約権については、新株予約権証券の番号、新株予約権の内容及び数、無記名式の新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権については、新株予約権付社債券の番号、当該新株予約権の内容及び数、それ以外の新株予約権については、新株予約権者の氏名又は名称及び住所、新株予約権の内容及び数、新株予約権を取得した日等を記載することを要する(会社法第249条)。株式会社は、株主名簿管理人を置く旨を定款で定め、新株予約権に関する事務を行うことを委託することができる(会社法第251条、第123条)。無記名新株予約権及び無記名新株予約権付社債に付された新株予約権を除き、新株予約権の譲渡は、その新株予約権を取得した者の氏名又は名称及び住所を新株予約権原簿に記載又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができないが、記名式の新株予約権証券が発行されている新株予約権及び記名式の新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権については、株式会社に対してのみ対抗できない(会社法第257条)。

新株予約権証券 新株予約権付社債に付されたものを除き、新株予約権証券を発行する旨の定めのある新株予約権について発行される証券(会社法第236条第1項第10号)。会社は、新株予約権証券を発行する旨の定めのある新株予約権を発行した時は、原則、遅滞なく、新株予約権証券を発行しなければならないが、新株予約権者から請求がある時までは、同項の新株予約権証券を発行しないことができる(会社法第288条)。新株予約権証券には、株式会社の商号、新株予約権の内容及び数、証券番号を記載し、株式会社の代表取締役(委員会設置会社にあっては、代表執行役)がこれに署名又は記名押印しなければならない(会社法第289条)。新株予約権証券を発行する旨の定めのある新株予約権の新株予約権者は、することができないこととされている場合を除き、いつでも、その有する新株予約権証券について、記名式のものを無記名式とし、又は無記名式のものを記名式とすることを請求することができる(会社法第290条)。新株予約権証券を発行する旨の定めのある新株予約権の譲渡は、自己新株予約権の処分による譲渡の場合を除き、新株予約権証券の交付をしなければ、その効力を生じない(会社法第255条第1項)。新株予約権証券の占有者は、当該新株予約権についての権利を適法に有するものと推定され、新株予約権証券の交付を受けた者は、悪意又は重大な過失がない限り、当該新株予約権についての権利を取得する(会社法第258条第1項、第2項)。(→即時取得

新株予約権付社債 社債に新株予約権が付されたもの。平成13年の商法改正前の転換社債型と、非分離型新株引受権付社債の2つの類型がある。新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、社債の金額ごとに、均等に定めなければならない(会社法第236条第2項)。新株予約権付社債の新株予約権又は社債は、原則、分離して譲渡することができないが、一方が消滅した後は、他方の譲渡が可能となる(会社法第254条第2項、第3項)。会社法上、新株予約権付社債に関する独立した章や節は設けられず、原則的には、社債の規定が適用されるが、新株予約権付社債の募集については、社債の募集の規定(会社法第676条〜第680条)は適用されず、新株予約権の募集の規定が適用される(会社法第248条)。

新株予約権付社債券 新株予約権付社債券を発行する旨の定めのある新株予約権付社債について発行される社債券(会社法第238条第1項第6号、第676条第6号)。会社は、新株予約権付社債券を発行する旨の定めのある新株予約権付社債を発行した時は、遅滞なく、新株予約権付社債券を発行しなければならない(会社法第696条)。新株予約権付社債券には、社債発行会社の商号、社債の金額、社債の種類、債券の番号、新株予約権の内容及び数を記載し、社債発行会社の代表者がこれに署名又は記名押印しなければならない(会社法第292条第1項、第697条第1項)。新株予約権付社債券を発行する旨の定めのある新株予約権付社債権者は、することができないこととされている場合を除き、いつでも、その有する新株予約権付社債券について、記名式のものを無記名式とし、又は無記名式のものを記名式とすることを請求することができる(会社法第698条)。新株予約権付社債券を発行する旨の定めのある新株予約権付社債に付された新株予約権の譲渡は、自己新株予約権付社債の処分による譲渡の場合を除き、新株予約権付社債券を交付しなければ、その効力を生じない(会社法第255条第2項)。社債部分の譲渡についても同様である(会社法第687条)。新株予約権付社債券の占有者は、当該新株予約権についての権利を適法に有するものと推定され、新株予約権付社債券の交付を受けた者は、悪意又は重大な過失がない限り、当該新株予約権についての権利を取得する(会社法第258条第3項、第4項)。社債についての権利に関しても同様である(会社法第689条)。(→即時取得

(株)新銀行東京 平成11年4月5日設立。平成16年4月1日、東京都の買収により、ビー・エヌ・ピー・パリバ信託銀行(株)から商号変更。平成17年3月31日、東京都千代田区大手町一丁目7番2号東京サンケイビルから、東京都千代田区大手町一丁目1番3号大手センタービルに本店移転。平成20年6月30日、東京都新宿区西新宿一丁目21番1号に本店移転。信託銀行やインターネット専門銀行を含め、日本の銀行で、商号中、「株式会社」の部分を除いて、「銀行」の文字が末尾にないのは、新銀行東京のみである。全国銀行協会(全銀協)には非加盟。

信金中央金庫 昭和25年5月29日設立。平成12年10月1日、全国信用金庫連合会より名称変更。平成19年12月3日、東京都中央区京橋三丁目8番1号から東京都中央区八重洲一丁目3番7号へ主たる事務所移転。全国を地区とする唯一の信用金庫連合会で、信用金庫のみを会員とする金融機関(信用金庫法(昭和26年6月15日法律第238号)第6条第1項第2号、第6条の2、第10条2項)。

親権者 未成年者であって婚姻をしたことがない子に対して、監護・教育、及び、財産管理の権利義務を有する父母。婚姻中の父母は、共同して親権を行使する。父母の一方が親権を行使することができない場合は、他の一方が行使する。父母の離婚の場合は、一方を親権者と定める。

親告罪 被害者やその法定代理人告訴等がなければ公訴を提起することができない犯罪。刑法上は、単独での強姦罪(刑法第177条)、過失傷害罪(同法第209条)、親族間の窃盗罪(同法第244条第2項)、器物損壊罪(同法第261条)などがある。また、刑法以外に規定されているものとして、著作権等の侵害罪(著作権法第119条、第123条等)がある。強制わいせつ罪や強姦罪などを除き、原則として犯人を知った日から6ヶ月が経過した後は告訴をすることが出来ない(刑事訴訟法第235条)。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

このページのトップへ

Copyright (c) 2008 Global Legal Office All Rights Reserved